2022年2月の休業を見送ることになりました。
2022年2月の休業計画見送りのお知らせ
先日に皆さんへお知らせをしました「2022年2月休業」の計画が見送られることになりました。計画見送りの背景には南アフリカで初確認された「オミクロン」という新変異コロナウイルスの感染拡大懸念があります。ご存知の方もあると思いますが、欧州とアメリカでは依然として感染者が増加したままです。ドイツ、オーストリア、チェコ、オランダ、イギリスなどは特に日に数万人の感染者をカウントしています。アメリカも1日10万人増加という現状は改善されていません。不思議と、フランスは他国に比べて増え方は緩いです。
私は京都新聞の切り抜きをしていますが、「オミクロン」の記事が登場したのは11月27日土曜日朝刊です。ネットニュースでは金曜日夜に記事が上がりました。私が2月の休業宣言をしたのが11月23日月曜日です。税理士さんとのミーティングを経て、数値目標を掲げて挑む決意をしました。年初からの制限が無くなった事もあり、年末年始をがむしゃらに働き抜くことで自分の立ち位置を確認し、2月を全休して古いデータをクリーンアップする計画としていました。
2月の全休計画は10年振りくらいでした。円町時代には2月を休んでも自分だけの勘定で済んでましたから気も楽でした。毎年、自分のアップデート期間として有効に作用してきました。新たに家族を持ってからの展開は、朝昼営業にしてみたり、夜営業のみにしてみたり、営業形態の変化を繰り返してきたこともあって全休という事が叶わなくなりました。紙屋川への移転も今年12月14日で5周年ですが、2月に全休という発想は持てませんでした。
個人事業主の特権と位置付けてきた「伝家の宝刀・2月全休」。コロナ禍の踊り場とも言えるこの期間を逃す手はないと考えました。協力金によって守られてきた事も強く作用しています。協力金がなければ、今年初めに閉店していました。飲食店の役割については別にまとめている途中なのでここでは割愛しますが、制限下でも調理を続けてこれた自分への労いを2月全休を取り報いようと考えました。
私は(上手く言えませんが)不器用です。何をするにも人より時間がかかります。身に付ける事も、実行することも、容赦なく時間を要します。考える時間を多く作らなくては動けません。信じられないくらいに臆病ですし、ビビリです。物覚えも良くないし、関心のあることばかり増えてゆき、大切な用事をあっという間に忘れたりします。皆さんからどう見られているかは分かりませんが、とにかく、ひとりで篭る時間が必須なのです。定休日のうち、月曜日をこうして活用することは睡眠くらいに重要なことです。
私は自分の中に余分なデータが燃えカスの様に残っていくことを実感しています。この燃えカスを処分しなくてはならない。人によっては友人や恋愛などで楽しんだり、お酒を飲んだり、カラオケに行ったり、旅行へ行ったり、食事へ出かけたり、そういう日常でその処分ができるかも知れません。残念ながら、私にはその能力がありません。私は友人を誘って飲みに出かけることが苦手ですし、誰かと約束を作って過ごすことも苦手です。人付き合いが良さそうに思われがちですが、内情は非常に面倒くさくて複雑です。誰かと約束を設けて過ごす時、「その人の期待を裏切るのではないか」と考えてしまい億劫になります。結果、人付き合いは遠くなります。
2月の全休は自分を自分に取り戻す作業です。国からの行動制限もなく、何かの利用制限もない世界でこそ有効です。治安が維持され、安心が保障され、経済的に不安も少ない環境でなくてはなりません。その環境と状況の中で自分が考えて選ぶことを「自由」と呼びます。その自由の中で自分を取り戻す休暇は多くの場合、だらしなく、無駄な時間を過ごし、人に会わず、遠くの知らない土地へ行き転地効果を獲得し、部屋に篭って外界との接触を遮断し、好きな時に温泉に浸かるなどに利用してきました。そうして燃えカスを処分するのです。自分の容量を増やして新しい展開に励む準備が整います。
私はそういう意味で不器用なのです。皆さんができるように容量を増設できません。私の容量はほぼ一定なのです。これが私です。与えられた容量を上手く使い回さなくてはならないのです。新しいアプリも入らないし、正常な動作を求めるなら容量の空きを作らねばなりません。私のOSは度々アップグレードされてきましたが、年齢と共にハードが追いつかなくなって来ています。ポンコツなハードを人よりも時間をかけてこねくり回し、容量をなんとか確保して、新しいフリをして過ごしているのです。そして今でも私は自分にできることを精一杯にしています。
10年振りに2月全休を計画できた時は歓喜でした。溜まりに溜まった燃えカスを処分できる。軽くなれる。入れたいアプリがたくさんある。真っ白な世界を見に行こう。東北の雪の世界に身を寄せよう。雪の音とストーブの湯が沸く音しかしない部屋で白痴になろう。時間の流れを変えよう。細胞の密度も変わるし、思考の速度も変わる。世界の基準を更新しに行こう。そんな計画でした。しかしこの計画は少し早かったようです。「オミクロン」が登場するまでは良かったのですが。
日本では2021年11月29日16:50現在、オミクロンの侵入は確認されていません。しかし時間の問題と思います。オミクロンによる感染が拡大すれば、政府が打ち出していた「緊急事態宣言下での行動制限緩和条件」も撤回されると見ています。ワクチンパスポートや陰性証明なども活用されないでしょう。オミクロンは全く別物と捉えて対応を迫られると考えています。感染予防対策による日常の様式が身に付いている事だけがアドバンテージであり、ウィルスは振り出しに戻るといった印象です。結果として、移動制限や飲食店の利用制限なども復活せざるを得なくなると思います。
この点について税理士さんとも意見交換をしました。「今はまだどのような状況になるのか不確定さが多くあるので、休業撤回の判断は妥当と思います」と回答を頂きました。数値目標が達成できても、私自身が快適さを享受できなければ意味がありません。まさに一喜一憂です。コロナめ。オミクロンめ。ことごとく、やってくれる。私の小賢しい考えなど波沫のごとくです。残念ながら、2022年2月の全休計画を見送ることになりました。
年末年始は変わらず、休みなく営業します。12月28日(火)から1月は8日(土)まで休みなく営業します。新変異ウィルスが蔓延せず、規制もかからず、このまま過ごせることを願っています。私の中にある燃えカスは溜まる一方です。きっとそのうちに内側から再燃しておかしな燃え方をすると思います。その燃え様を面白がって見て頂ければ幸いです。ひねくれた感情を抱えたままですが、きちんと立っていられるように努めます。それでも料理が作れることは幸せです。今年を振り返りつつお食事を楽しんで頂き、来年を見据えて、2022年の悪巧みを私と一緒に練りましょう。
いつもこんな感じで、すみません。私は元気です。12月メニューもよろしくお願いします。
イルピアット紙屋川 トニーミズタニヨシオ