2021年の年末ご挨拶にかえて
2021年12月27日月曜日。時刻は13:27です。いま西大路通りわら天神前にあるマクドナルドへ来ています。年内最後の休日を過ごしています。朝起きると屋根には雪が薄く積もっていました。ほぼいつもと同じ時刻に家を出て紙屋川に向かいました。今出川通りの七本松より西の南側歩道が凍結していました。北野天満宮交差点南側に到達すると、完全なアイスバーンでした。転倒する人が何人もおり、気の毒に思いました。
わたくしは七本松あたりから自転車を押して歩いたので転倒には至りませんでしたが、凍結箇所に達してからブレーキをかけて転倒するさまを眺めながら「まあ、そういうものだよな」と胸の内でつぶやきました。危険は承知で自転車を漕ぎ、少し運転できると自身の可能性に賭けてみたくなるものです。しかし現実は残酷で、見事に転倒する。痛そうでした。道路上では車同士で接触事故を起こした車両が停まってもいました。
怪我をしたり、事故をしたりの雪の朝。通勤や通行の危険を察知しながらも守らなくてはならないのは出勤時間や約束の時間。「私たちは一体何を大切に思い暮らしているのだろうか」と静かな問いが立ち、少し悲しくなります。ひたむきに守るのは決められた時刻であり、自分たちの安全ではないような光景を見るとき、「つまらない事だな」と遠ざけてしまいたくなります。家族には、時間に遅れても構わないので安全を優先することを伝えていますが、多くの人は決めたルールの変更を簡単には実行できないものです。正常性バイアスの軽くかかった光景をそこかしこに確認するとき、融通という言葉がユーモアと共にポケットにはないのだなと悲しくなります。
今年を振り返ってみると、この正常化バイアスをいい意味で活用できたのかなと思っています。わたくしは紙屋川で調理を担当しながら、料理を作り続ける使命のようなものを感じていました。社会的インフラとしてのレストランの使命は、食事の提供と時間の快適さにこそあると強く思いました。その使命による正常性バイアスは、提供方法こそ変更しても強く働いたのだろうと思います。調理することを諦めなくて良かったと思います。課題も問題も残っていますが、調理できればいいかなと今も思います。
来年はどんな一年になるでしょうか。3年弱をアルバイトで勤めてくれていたおはるが寿引退をします。社会人で積極的に勤務してくれた実績を、わたくしはしっかりと記憶しています。彼女と働けた時間は尊く、楽しいものでした。社会学に興味と関心を持ってくれたことも、わたくしが「手塩に掛けて育て上げた」と感じる要因です。彼女の成長を近くで見れてよかった。結婚して新たな展開を見せるおはるにも恥じないように、紙屋川を動かしてゆこうと思います。
相変わらず、コロナ禍の中にあります。ですが、人間は図々しく強く、人々は太々しく大胆です。正常性バイアスを抱えつつも、少しずつ生活様式を変えてきました。来年はもう少し多くの人々に余裕が生まれることを祈っています。みなさんが生活に潤いと快適さを維持できることを祈っています。わたくしは、年末をもって閉店する自宅近くの銭湯へ浸かりながら思いを馳せます。それから再びイルピアット円町へ赴き、今年最後の営業を迎えたすしぼんを労おうと思います。みなさんも良い年をお迎えください。
イルピアット紙屋川は12月28日火曜日から1月8日土曜日の期間中、休みはありません。