京都府知事・京都市長並びに、京都府議会議員・京都市議会議員の皆さんへの意見書・質問書
意見書・質問書
京都府知事・京都市長、並びに、京都府議会議員・京都市議会議員の皆様へ
今日は2020年1月6日水曜日です。突然の意見書ならびに質問書を失礼いたします。火急なのでメールにて送付します失礼をお許しください。私は京都市北区大将軍川端町、一条通り紙屋川にてイタリア料理店を営み働くものです。屋号はイルピアット紙屋川、氏名は水谷啓郎と申します。なお、この意見書・質問書はSNS上にも同時に公開・公表しています。
コロナ感染症対策のひとつとして12月17日金曜日に京都府・市から飲食店に向けての営業時短要請(12/21~1/11)が出されました。恐らく、中央政府が首都圏対象に1月7日付けで緊急事態宣言を再発するに合わせて、京都府・市でも営業時短要請延長が発表されるものと考えます。私は飲食業でその対象事業者です。私事で言えば、今回の時短要請補助金は大変にありがたく思っています。しかしながら、この期間中の感染拡大を防ぐには至らず延長の運びになることが予測されたので、1月下旬に計画していた冬期休暇は撤回いたしました。撤回したのは補償を受けたいからです。要請前に計画された休暇は対象から外れるようですからすっかり落ち着いてから休暇は再考します。
営業時短要請を21時閉店としている背景については「はしご酒」「酒席は密になりやすい」「酔うと感染予防意識が薄らぐ」「深酒を防ぐ」などがあります。酒席は気が大きくなり予防意識が薄れる指摘を京都府のコロナ感染対策本部の方とのミーティングで確認しています。まさに、利用する方たちの感染意識維持を目的としていると言えます。お客さまのご利用を制限する目的は、感染予防意識を切らさずに実行してもらうためです。
しかし感染予防を大きく妨げている原因に、自民党幹事長並びに総理が12月14日に銀座でステーキ会食をした行為があると断罪したいです。「国民の誤解を招いた」「たまたま出会っただけ」「食事が目的でない」などの発言は国民感情を気付けました。加えて、12月17日には自民党岸田派、二階派は忘年会を計画していました。世論が批判的という事で中止にしましたが(二階派は48名出席予定)、14日のステーキ会食と忘年会計画について皆さんはどうお考えですか?京都府知事、京都市長を始め、府議員、市議員の皆さんは抗議されましたか?「困りごとは相談してください」と京都新聞にも掲載がありました。これは困りごとなのです。これは非常に重大かつ、重要な困りごとなのです。
京都府は8月1日に「ガイドライン5ルール」を打ち出しています。各事業者に向けてもガイドライン遵守を送付しています。緊急事態宣言は4月17日に発出され、第一波を抑えたとされています。時系列を簡単に紹介しましたが、皆さんに質問です。8月1日以降に花街での会食をされた方はいますか?私は伝聞ですが、門川市長は花街での会食があったと聞いています。それが間違いなら訂正ください。また、7月にGoToトラベルキャンペーンが始まりました。いまは停止中です。このキャンペーンは時期尚早だったと考えますか?
国会議員による会食会や政治資金パーティー開催などは8月以降にも開かれています。これらのパーティーに参加された方はありますか?感染予防対策が万全だったから問題なかったとお考えでしょうか?私がまことに尋ねたいことは、
「皆さんが過ごしてきた昨年は、私たちの日常の模範になっていましたか」
という事に尽きます。どんな事情があるにせよ、私たち府民や市民が皆さんの日常を模範とすることが感染予防の最前線であり模範的な振る舞いであるべきと考えます。
私は飲食業者です。感染予防ガイドラインに沿って準備も営業も心がけています。手が荒れつつもアルコール消毒をすることなど、医療関係者の負担と苛烈な環境を思えば何でもない事です。お客さまに不自由で面倒なお願いをしながらも、レストランに足を運んでくださることに感謝して時間を用意しています。中には、感染予防意識の軽薄な方も見えますが、「私の料理が食べたければご理解ください」と言葉ではない圧力を出してご理解を促しています。感染予防対策は実働、その予防効果以上に店側とお客さまのマッチングが上手くいかなければ効果が見込めません。つまりは、予防対策という姿勢を理解してもらうための努力に他ならない。
それを12月14日にぶち壊されました。まさに「ぶち壊し」です。いいですか。私たちが腐心して感染予防対策を講じても、利用する方の意識が足らなければ水の泡です。ですから、こちらも条件としてより良い料理をご用意する努力を重ねることで「きちんとするから食事したい」と思っていただく他ないのです。全ての飲食店がそうできる訳ではありませんが、私たちは社会的役割として「調理」を選んでいます。レストランは社会的インフラです。気分転換に活用し、日々の活力と英気を養う場です。人とのコミュニケーションを重ね、自分の価値と意味と人格を承認され、認識される場です。単に空腹を満たす役割ではありません。私たちの仕事には価値も、意味も、尊厳もあるのです。
それを、それを、二階氏はなんと言いましたか。レストランにて会食したにも関わらず「食事が目的でない」と。私は馬鹿にするなと言いたい。レストランの価値も理解しない人間が政治の中枢において何かを取り仕切っている事がどれ程おぞましいことか。その延長線上に「緊急事態宣言」に盛り込まれるだろう特措法の強化による罰則規定があります。本当にいいのですか?こんな事を認めさせてしまって構わないと思っていますか?全て繋がっています。議員の行為と、意識と、政策実行が繋がっている。しかも、事業者の尊厳を踏みにじるような発言を皆さんも許してしまっている。
西脇知事も、門川市長も自民党から選挙応援を受けているのです。何なら、共産党以外の政党は全て西脇知事と門川市長を推薦したのです。知事と市長を推薦した政党が、私たちの感染予防対策もその成果も水の泡にしているのです。どうして黙っているのですか。府民が、市民が、こんな目に合っているのを知らないのですか?私たちの感染予防対策はつまらない言い訳によって破壊されてしまった。感染予防しない言い訳の模範を国のトップが加担してしまった。
いいですか。だから意見書を送っています。「知らぬ、存ぜぬ」は通らないのです。私はきちんと発言しています。これこそ「困りごと」なのです。国会議員に感染予防行動を滅茶苦茶にされた相談です。感染拡大を招いた元凶は軽薄な行動と、悩ましい言い訳です。私の店のお客さまが感染拡大を指せてはいない。まさに二階氏と菅総理の行動です。きわめて明らかで、事実です。「国政に関しては口を出せない」という声も聞こえてきそうですが、それは違います。京都府も京都市も、中央政府の意思決定に沿う形でしか感染症対策をしてきていません。だからこそ、言うべきなのです。言えるはずなのです。このままでは地方自治が終わってしまう。
皆さんは普段どんな活動をされているのですか?このコロナ時代になって、私たちの声を拾い上げてくださらない。私は一度、知人を通して門川市長に訴えを届けてもらっています。もちろん、返答はありません。国のトップが感染予防行為に無頓着であった事をきちんと整理もせずに、なぜ飲食店舗が「コロナ感染の源泉」であるように言われなくてはならいのですか。繰り返しますが、利用する方の意識が野放図である限り時短営業しても感染拡大は防げません。ましてや、経済活動を再開して感染防止などファンタジーです。きちんとした感染予防行為を皆さんが心がけているならば、私と同様の怒りを覚えてしかるべきです。私たちの努力が蔑ろにされたことを抗議します。
府民、市民の感染予防意識をどう醸成するのかの議案はもちろん、出ているのですよね?1月6日に自民党と立憲民主党の国対委員が会談して「国会議員の夜の会食制限」を話したとありました。そんなもの、3月にできていなければおかしいと思いませんか?その上で4月17日の緊急事態宣言なら分かります。3月7日に小中高を一斉休校にした時にそんなことは決まっていなくてはおかしいのです。知事も市長も各議員の皆さんも、ご自身が感染予防行為の模範であるに違いないなら私が指摘する事はご理解いただけるはずです。どうか抗議してください。
皆さんは「先生」と呼ばれる立場です。私たちの中から立候補してくださり、日常のルールを取り決める役割を担ってくださっています。私たちの代表です。だからこそ「困りごとを聞かせてください」と言ってくださっていると真に受けています。私たちの代表であり、模範であるからこそ「先生」なのです。私たちの暮らしを守る為にも、感染予防意識の醸成案を聞かせてください。そしてそれを体現し、「自分こそが模範である」と威風堂々と見せてください。私はそれを習います。この事は知事も市長もまさにそうなのです。門川市長は花街へは行っていませんか?繰り返しになりますが、いかがでしょうか。
飲食業だけではありません。今回の時短要請も、これまでの自粛も、酒屋さんは壊滅的です。思い起こせば、卒業式、入学式、お花見、GW、祇園祭、夏休み、秋の夜長、クリスマス、年末年始、全てのシーンでお酒は控えられてきました。言い換えれば、「なくていい」かのようにひどい扱いです。これもまた、「飲み方のモデル」を教本のように言うからユーモアもなく関心を持たれませんでした。お酒の飲み方が問題なら、それをきちんとすべきなのです。私たちにできることは少しでも販売する事ですが、「お酒が悪い」と流布されてはどうしようもありません。
ほぼ全ての職業が感染予防行為の遵守を叫ばれて努力をしてきたのに、12月14日を皮切りに台無しです。私たちの努力は報われないままで制限ばかりが厳しくなります。私たちに制限を掛ける前に皆さんがモデルになって、模範になって、率先して実行している姿を見せてください。それが全く見えて来ません。私たち飲食業者も一枚岩ではありません。私とは違う考えのお店も多くあります。それでも、どうしたら料理を作れるのかを考えている事に変わりはないと思っています。私はひたすらに料理を通して感染予防の意識をご理解いただく方法しか分かりません。
こんな大変な時期に新しく開店した友人もいます。開店準備は整ったけれど、政策判断が定まらずいつ開店できるか分からないという友人もいます。努力の甲斐なく、閉店を選んだ友人もいます。この先にどうすればいいのかと自信を喪失している友人もいます。そんな様々な事情があっても、私は料理を作ることを通してしかコロナに打ち勝つ術を知りません。どうか、私たちの努力と犠牲と気概を無駄にしないでください。どうか、どうか、よく考えて政策実行してください。
私の妻は看護師です。医療現場のひっ迫さ、現場の殺伐さ、しなくてもいい衝突と疑心暗鬼。実はこの一年を通して緊急医療体制構築は考えられたはずでした。コロナで使わなくとも、今後にも役立てられる医療体制構築を議論していただいていたでしょうか?京都府と京都市にそうした医療体制構築を望むと同時に、世界のモデルを作る気概で議会にて議論していただきたく思います。大切な労働資源を湯水のように使ってしまった後には何も残りません。
最後に、皆さんは昨年一年間の報酬に変化はあったのでしょうか。とても気になります。昨年のコロナ関連での失業者は全国で8万人弱です。今後も増えるでしょう。今回下される緊急事態宣言も効果がなければ再び、全国へ波及するでしょう。職を失い、所得を失い、路頭に迷う人が多く生まれる中で、皆さんはコロナ感染予防行為の模範としてしっかりと活動されていたのであれば、その報酬は見合うものと信じております。
私はどの政党にも、政治思想にも、団体にも、何にも属していません。ただのレストラン経営者であり、ただのコックです。ひとりの市民としてどうしても聴いていただきたく失礼を顧みずに意見書・質問書を送付した無礼をお許しください。かなうなら、皆さんの意見と声を聞かせてください。どうか、よろしくお願いします。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
イルピアット紙屋川 水谷啓