夏季休業と減給のお話。

2017年7月28日お知らせ

先日、アルバイトのほっしーにお休みをお願いした翌日。自分の不甲斐なさにとても行き場がなくなってしまいました。何も、掲げる目標が高い訳でも高尚な意識がある訳でもない私は、今の自分に起きた変化をジクジクと考えていました。自分が許せなくて思春期なら物を壊すか人に当たるか盗んだバイクで走り出すかしているところです。

紙屋川へイルピアットを作ってから半年の6月から、私の給与は上がりました。給与は税理士さんと相談して決めています。「ミズタニさんはこれくらい給与があっても不思議ではありません」と言ってくださった5月のミーティングはとても報われた気持ちでした。私は「もらい過ぎじゃないか」と思いつつも税理士さんの提案を受け入れました。思えば、身の丈に合っていないとこの時にも感じていたのです。

するとどうでしょう。6月になった途端、どこかで給与を獲得する為に働く意識が生まれます。「これまで給与のために働いてこなかったのか?」と驚かれるかも知れませんが、私は自分の月給は20万円もあれば充分と考えてきました。しかし給与を意識した途端、変な力みというか責任感というか、得体の知れないまとわりつくような重さを感じるようになりました。

私の月給20万円を計算すると朝9時から深夜2時まで働いて時給534円です。私はイルピアットを運営できればいいのです。給与金額よりもきちんと運営できることが日々のモチベーションです。給与が上がったことで感じるようになったプレッシャーは、働くモチベーションに影を落としました。どうも空回りしている。気持ちも暗くなる。

その事は売り上げの成果にも数字で出ました。6月と7月はそれまでに比べてお客さまのご利用数は減りました。季節柄、梅雨時期と初夏ですから売り上げは下がるのかも知れません。そうだったとしても、その季節の環境にこそ打ち勝てなくてはなりません。という事は、売り上げ減少の理由は自分にあるのです。この暗い気持ちはどうしたらいいのだろうか。

なんとか浮揚しようと頑張りますが、思うようには行きません。たまに良い日があっても、自分では納得できなくなりました。「給与が上がったのだから」と言い聞かせては自分の尻を叩きます。そんな事をこれまでした経験はありません。なんというか、「せねばならないこと」として横たわる労働は理解できます。すべき作業は純粋なもので、労働とはその繰り返しです。ですが、クリエイティブな作業は迫られてできるものではありません。言い換えると、クリエイティブな作業と労働は少し違うもののようです。自分がクリエイティブで無くなりつつあることへの危機感は焦りにも似ています。

これまで給与は結果であって求める対象ではありませんでした。自営業者ならではの感覚なのかも知れません。同じ月給制で金額が保証されている雇用者としての給与とも少し違います。日々の営業成績が自身の給与を侵害する事はないのですが、それでも、成績が振るわなければ赤字になってしまう。その緊張感と想像が体を硬くします。悪い想像ばかりしてしまう。全然クリエイティブではない。

給与が上がってから、休みの日の消費も大胆になりました。所得が上がって気も大きくなりました。なんでもできるかのような幼稚な感覚は、貧乏人特有の浅はかさと言えます。私は根っからの貧乏人だからか、手元にお金があると大胆になってしまいます。その証拠に今年は浴衣を新調しました。「それくらい自分への褒美だ」と解釈して購入しましたが、身の丈に合わない買い物です。ただ、浴衣には大満足していますが。

自分の身の丈に合わない状況は自分を苦しめます。今回はどうにも適応できません。その不振は結果としてアルバイトの生活を侵害する結果を招きました。大げさな物言いだと思われるかも知れませんが、アルバイトの子は一ヶ月のシフトを自身の生活ベースに据えています。1日抜けることの大きさを私は知っているのに。不甲斐なさと落胆は私の身の丈を修正する動きへと変わります。なんとかしたくてもがく訳です。

そして昨日、税理士さんに無理を承知で給与の減額を申し入れました。上期の申告が終わり、源泉徴収も収めたばかりでしたが「今のままでは自分がどうにかなってしまう」と訴えました。非常に困惑されましたし留意も頂きましたが、私は気を楽にしてイルピアットの運営をする必要があるとも吐露しました。最終的に了承してもらいました。8月4日には健康保険組合の面接があります。その時にもこの旨は伝えなくてはなりません。それでも、気が楽になりました。

昨夜は久しぶりに賑やかな夜でした。イルピアット紙屋川はお客さまが集う事で呼吸ができるお店です。お客さまがいないと息も絶え絶え、まさしく酸素不足になります。その原因を自分に見る時、やはりできる事は片っ端からしないと気が済みません。その上でまだ酸素不足ならそれはその時にまた考えなくてはなりません。気が楽になった昨夜は身体も楽で、疲れ方も違いました。人は精神と感情に支配された生き物だとつくずく思います。

イルピアット紙屋川は来週から一週間の夏季休業にはいります。この営業不振の最中に一週間のお休みをするなんて気が違っているのですが、これも何かの流れです。来週には友人のウェディングケータリングもあります。営業はお休みしますが、この時間を使って身の回りを整理しようと思います。夏の大掃除です。気持ちも一度リセットできるように努めたいと思います。

イルピアット紙屋川は7月30日(日)から 8月7日(月)までの間、夏季休業をいただきます。ご不便とご迷惑をおかけいたしますが、どうかご理解ください。夏季休業後には弾けるような8月メニューをご用意します。どうぞお楽しみにしていてください。

こんなふらついた感じですが、これからもどうぞお付き合いください。私は何も順調に運んでいるように見えて決してそうではありません。ですが同時に、諦めるにはまだまだ早いことも知っています。情けなくて小さな人間ですが面白がっていただければ気持ちも楽になります。暑い夏、存分に楽しみましょう。