医療衛生センター、食品衛生監視員による指導を受けました。
2019年1月28日 月曜日午後に、京都市医療衛生センターによる注意指導を受けました。本件は、先日に発生したランチでの異物混入案件を私自ら報告し行われました。今回、行政指導を仰いだのは、再発防止と案件に対する猛省はもとより、該当のお客様への説明責任、そして、イルピアットに関わる全てのお客さま、同飲食業者さま、出入り業者さま、アルバイトスタッフの皆さんへの謝罪を考えた事によります。
今回の事により不愉快な気持ちと、飲食業への信頼を損なわせてしまった事を心よりお詫びいたします。申し訳ございませんでした。
注意指導票にも明記されている通り、今回の案件は私が調理した鍋を外気温を頼りに外へ放置していた為に生じました。この事実に間違いはありません。この事に際し、幾つかの指導を受けましたのでご報告いたします。
先ず、「なぜ外に鍋を置いていたのか」ですが、この季節の外気温を頼りに煮込み料理や冷却が必要な調理などの鍋などを併設するベンチに置くことがありました。蓋のないものはそのままの場合もありました。この行為は、私が調理した料理の監督責任を著しく破っています。そしてそれらは「厨房内で賄えない作業なのか」と尋ねられました。いいえ。厨房シンクに入る鍋しかイルピアットにはありません。冷却は氷を使えば容易に厨房で可能です。もし、厨房内で賄いきれない調理があるならば、「それらは辞めなくてはならない」と指摘をされました。全くその通りです。私は、私の調理の全てを厨房内で賄う義務があります。「その為の厨房施設です」という指導でした。
厨房施設には「許可申請」を設けています。「営業許可」などはその一つに該当します。ある条件を設けての施設申請を踏んでいる背景には、「その厨房能力で調理できる範囲」という把握と理解もあります。行政は毎日、調理施設へ赴けません。ですから、申請してもらい許可を出しています。申請は守られる事が前提です。そしてその申請は、「厨房内で全ての調理」が前提です。これが「調理能力」です。私個人の発想や技術の「能力」とは違う意味です。私個人の持つ「調理能力」と、厨房設備が持つ「調理能力」は言葉が同じでも文脈が異なります。この厨房能力を越えての調理は厳禁です。私が外で保温していたことは、しっかりと指導されました。
加えて、その該当赤だしをなぜ提供してしまったのか、という点です。この事もまた別の「能力」に関わります。ランチは私が1人で展開しています。昨年途中から「リゾカルネ」が始まりました。新しくオペレーションを増やした結果、作業への注意や最終確認が疎かになったのではないかという指摘です。まさに、その通りです。前菜とパスタに加えて、全く異なるリゾカルネを展開することはイルピアットの将来を見据えての試みでした。ゆくゆく、リゾカルネを定着させてランチのバラエティーを図る思惑でした。しかしその結果、確認作業や仕上げにバラツキを含むようになっていたのだと思います。今回、提供した人物は私の友人でした。その関係に私の甘さが作用した事は容易に想像できます。ろくな確認もせずに提供した非礼は、提供した相手が誰であっても断罪されるべきです。
最終確認や仕上げが疎かになる背景に「作業過多」が指摘されました。つまり、捌けない、対応できないような注文を無理にこなそうとしているのではないかという事です。もしそうならば、人員を増やす必要があります。人員を増やせないならば、作業を減らす必要があります。「作業能力」を越えての接客サービスは、今回のような「赤だし」を見逃しました。この点でも「作業能力」の「能力」を越えていた可能性が指摘されています。人を入れるか、作業を軽くするか。この事はランチだけでなく夜の営業メニューにも等しく言える点です。行政の担当者の方は「お一人でされている事で最終確認を焦ってしまうのであれば、ダブルチェックできるような人員を確保する方がいいでしょう」と言われました。「もし、そうでなければ作業を軽減して最終チェックをしっかりとすべきでしょう」と指導されました。私は「お話いただく通りです」と答えました。
そして今回、一番強く指導を受けたのは「該当する調理品が残っていない」という点です。
「今回の案件は、ご主人のお話を全て「そうだろうなぁ」と聴くことしかできません。どういう状態の調理品であったのか第三者の眼差しを入れるためにも処分はしないでください。この事は調理者の冤罪も含めて非常に重要な事です。処分された後では、何も確認できません。」
全く、その通りなのです。赤だしの写真さえ残っていません。何がどのように、何本あったとか、どんな状態だったのか、さっぱりと確認できません。担当者の方は「それが一番大事なことです」とハッキリと言われました。私は、私の発言しかないことをお詫びしました。今回の案件も、私の要請で来ていただきました。しかしその話を裏付ける被害届も、健康被害も、クレームも、何も上がっていない。でもだからと言って、私が看過できないと言う。なかった事にはできないと言う。こうした背景も加味して頂き、「食品衛生指導票」を作成頂きました。
この指導票をある期間(決めていませんが)、入った直ぐの柱に掲示しました。私が作業をしながらいつも見ている時計の近くです。皆さんにも見てもらえる場所にあります。先の投稿にも書きましたが、私への規制や規律は私自身の理性だけでは足りません。行政やお客さまからの眼差しや指導はとても重要です。そしてそれを真摯に受け止めてしっかりと反省し、次のイルピアットで活かせるように務めたいと思っています。社会全体を何となく「バレなければいい」という空気や雰囲気が覆っているように感じています。私はそうした事にうんざりとしているものです。ですから、今回の案件はきちんと公開してご報告をすべきと考えました。行政の担当者の方は「SNSにまで上げるのは危険」と心配さえされていました。「こうして自主的に連絡をされて指導もされて、再発しないように務められれば充分ではないですか?」と言って頂きました。「いや、当日にもう上げてしまいました」と伝えると、苦笑いをされました。
そうすれば済む事でもありません。周囲の多くの知人や、友人や、家族にも心配をかけしてしまいました。ごめんなさい。私の能力を買ってくれている同業者のコメントにびっくりしながら、そうした人たちのそういう気持ちにも泥を塗るような案件だったと反省しました。私を信頼してくださっている人たちにも、本当に、ごめんなさい。私は、ただただ、そういう周囲の人々に見守られていて感謝しかありません。
明日からもどうぞよろしくお付き合いください。
ご心配をおかけいたしました。
エールを送ってくださった全ての人にこの場をお借りして感謝いたします。ありがとうございます。
イルピアット紙屋川 水谷啓郎