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パース日記

2018年3月9日ケータリング・リポート

2018年 パース日記

2018年も3月になりました。今年は年始からオーストラリア・パースに赴き、結婚式に出席しました。私は式翌日のホームパーティーの料理を作る約束でした。パースは南半球ですから季節は真夏。それでも気持ちの良い気候です。京都の様な真夏ではなく爽やかな夏です。パース市内で松村さん家族と合流して市内観光。大きなスーパーへ行き、ホームパーティーで作る料理のイメージも膨らませたりしました。

渡航はjocmスタッフの大林さんと一緒でした。夕方に関空で待ち合わせてタイ経由でパースへ。途中のタイでは空港でフットマッサージを受けました。私は勝手がわからず、パンツ一枚になってサービスのおばちゃんたちに大ウケでした。簡易なズボンを持ってきてくれたのを衣服入れだと勘違いして、また大笑い。旅行はこうあるべきだと自分でも愉快でした。パース空港で「ミズタニラジオ」を収録。クロワッサンにハムとチーズが挟んであるだけのサンドとコーヒーのセット1500円程(高い!)を朝食にしました。私は空港で浴衣に着替えました。

着いた日の夕方、ワイナリーでの結婚式に出席。広大な敷地に広がる葡萄畑。レストランと宿泊施設も併設し、とても洗練された印象のワイナリーでした。私と大林さんが同じ棟に宿泊。二階建ての宿泊棟は快適です。バルコニーもあって私はそのバルコニーから娘へのハガキを書きました。大林さんはこの日のためにドローンを取得していて、早速、挙式までの時間にドローンを試験運転。果てしなく広がる葡萄畑を空撮する光景は圧巻でした。

挙式は静かに始まり、親族と友人たちで構成された温かな挙式でした。新婦の輝咲さんは鮮やかで綺麗な着物姿です。この日はまさに、輝咲さんのためにある様な気持ちでした。大林さんはドローンを飛ばして新郎のアランと輝咲さんを空撮して動画を作りました。ワイナリーならではの広大さと祝福。集まった友人たちの華やかさ。私は初めて外国の挙式に参加しました。とても貴重な経験でした。アランと輝咲さんが積み重ねてきた日々がここにある気がしました。

挙式の後、披露宴が催されました。日本の披露宴と趣は同じですが、友人たちからのメッセージの厚みと新郎新婦からの感謝のメッセージの熱量が人目をはばからない内容で目頭を熱くしました。披露宴が一通り済んでからダンスタイムが始まりました。生バンドの演奏でずっと踊ります。私は飲み過ぎてもいたし、翌日の調理も控えていたので最後までは付き合えずひとしきり踊ってから部屋へ戻りました。あっという間に眠りました。

翌日、式に参加した皆は眠たそうに朝食のレストランに集まりました。ああ、ここはパースか。快適すぎて自分がオーストラリアにいる事を忘れてしまうほどです。一緒に朝食をとったメンバーは皆、日本人だったこともあって海外にいる感覚を遠ざけました。抜ける様な空。広がる葡萄畑。快適な気候。美味しい朝食。贅沢な時間。今日はこれからホームパーティーの料理を担当するんだという気持ちも強くなりました。

新郎新婦は披露宴のダンスパーティーで長い時間を過ごした様でした。疲れが出てもおかしくない翌日。皆でワイナリーを出発して会場のマンションへ向かいました。街並みが綺麗です。建物が低くてきちんとデザインされています。パースのマンションはバルコニーに机と椅子が置いてあります。殆どの家がそうです。バルコニーでワインでも飲みながら過ごす習慣があるのだろうな、と思いました。生活に遊びとゆとりを確保する装置が羨ましく思えました。

マンションに着き、すぐさま準備に取り掛かりました。マンション前のスーパーで材料を調達して段取りを皆に伝えます。大きなテーブルを一つのお皿に見立てて盛り付けとレイアウトは始まりました。準備時間は1時間。「何か手伝うことは?」という皆にどんどん手伝ってもらいました。私は大まかな指示をしながら調理を進めましたが、皆で作り上げたパーティーだったと思います。テーブルに配置された料理は入れ替わりながら色彩を変えて行くイメージでした。パレットの様に色々な色が登場するように。

ひと段落して新郎のアランに生パスタと鶏肉のテリーヌの作り方をレクチャーしました。そして一緒に作りました。今回、ホームパーティーでの大きな目的は彼へ調理を伝えるということでもありました。彼は熱心で根気があるので話も早く、コツをつかんだ様子でした。新婦の輝咲さんも絶賛の出来栄えでした。

皆でワイワイと手作りのホームパーティー。私は自分の食事をしていなかったので夕方に「まかない」を作りました。残っていた人に「食べますか?」と尋ねると「食べるー!!」とのこと。夕方もう一度、簡単に調理した料理を並べて皆で食べました。

私と大林さんはその日の深夜便で日本へ帰るスケジュールでした。ひとしきりまかないを食べて、身支度を整えて空港へ向かいました。機内二泊現地一泊のスケジュール。とても充実した内容でした。あっという間でしたが、強行で来て良かったとつくづく思いました。

パースの空港でシャワーを浴びて帰国する気持ちのリセットをしました。荷物検査で大林さんが引っかかり再度、チェックインカウンターで手続きするハプニングもありました。どれも貴重な経験でしたし、とてもエキサイティングでした。パースは素敵な街でした。

帰りの飛行機が台湾に立ち寄ったのには驚きました。私たちのチケットには「シンガポール経由」としかありませんでしたから。初めての台湾は雨でした。空港には30分程しか自由な時間はありませんでしたが、立ち寄れて良かったです。関空に着いて大林さんと別れました。大林さんはパースに行く前、札幌にいたので随分と長い時間を旅したことになります。

渡航の夢心地と帰国した現実感がノスタルジーを生みました。振り返るとほんの数日の経験だったのに、色濃く脳裏に焼き付いたパース。素敵な時間だったと今でもよく振り返っては私を支えてくれています。

そんなパースで生まれたワインがいま、イルピアット紙屋川で飲めます。スワンバレーの「jarrah ridge (ジャラリッジ)」が作ったワインです。このワインは輝咲さんがぶどうのブレンドに関わっています。「日本にオーストラリアワインを届けることで両国の友好を実現したい」と話していた彼女の夢は叶いつつあります。

三種のぶどうをブレンドをしたこのワインは、「大切な人とのんびり話しながら飲みたい」という気持ちになります。新年早々、パースでの結婚式に出席した余韻はまだまだ続きます。私も料理の勉強を重ね、このワインに見合う内容をご用意して行きます。